事例紹介
100年の歴史、パナソニックのブランドを学ぶ|Zoomオンライン
今回のブランド戦略実践会は、パナソニック社のブランドを学びました。ゲストスピーカーには、パナソニック(株) ブランド戦略担当参与・施設管財担当参与の竹安聡先生にご講演いただきました。竹安先生は、私が事業構想大学院大学時代にお世話になり、松下幸之助の大ファンということも重なって、様々な機会でご指導を頂いてきました。
2018年パナソニック社100周年記念フォーラムやパナソニックミュージアムへ行った際は、感動が止まらず、改めて偉大な会社であると興奮したことを記憶しています。また私がプロデュースしたドキュメンタリー映画「チョコレートロード」にも多大なるご支援をいただき、2019年に映画は無事に完成いたしました。近くコロナが落ち着いた頃にきっと劇場でご覧いただけると思います。
WHYから始める
創業者の松下幸之助は、会社の存在意義を常々従業員に説いてきました。今でも月曜日の朝会で理念を唱和されており、大企業といえどもそのような日々の積み重ねがあってこそ、会社の成長が支えられているのだと思います。理念は従業員に浸透するものではなく、共感してもらうことが必要。竹安先生の発表からは、理念の浸透という言葉では従業員を会社の理念に従わせるという印象を与えますが、そうではなく、従業員が共感することで自分の人生と会社の理念を重ねることができるのだと改めて認識することができました。
そして、会社と顧客は「心の絆」という見えない契約をしています。だからこそ、私たちがなぜこの仕事を行うのかを考えなければなりません。その理由となるものがWHYです。HOWやWHATから始めるのではなく、意義目的、ミッション、想い、存在理由を持ち続けなければ会社はただのお金儲けの手段になってしまいます。
ブランドを育てるマインドアイデンティティとは
私たちは、ブランドを作りたいと願っていても、ブランドが何かを理解できていないまま進んでしまうことがあります。しかし、ブランドを作るためには、企業らしさを定義することが必要で、それは人の手によるものであり、だからこそ、心を一つにすることが重要なのだと言えます。心を一つにするためにパナソニックは崇高な理念を掲げ、従業員や顧客、社会との見えない約束を守ってきたのだと思います。
そして、パナソニックは経済的価値だけではなく、社会的価値を追求してきました。目まぐるしい諸外国の発展の一方でまだ電気が通っていない地域が数多く存在します。日本人にはなかなか縁がない社会課題が世の中には数え切れないほどあり、このランタンプロジェクトも創業者の意志を継いでいるかのような事業であると感じます。
昨今SDGsという言葉を耳にすることが多くなりましたが、私たち日本人はもっと弱いものに優しかったはずですし、高い精神性や使命感を持っていました。企業は社会の公器であると言われた松下幸之助は100年前からそのようなことを意識しながら経営をしてきました。100年たった今、社会課題はまだまだ山積みです。私たち企業人が今後どのような社会的価値を生み出さなければならないかを学んだ貴重な時間でした。
次回は、SDGsについての学びを深めていきます。