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事業を伸ばすためのマーケティングミックスという視点を手に入れる
あなたは、なぜマーケティングミックスに関心をお持ちですか?マーケティングミックスを理解することで、あなたの商品・サービスを販売したいという思いがあるのではないでしょうか。または、クライアント企業のマーケティングを強化したいと思われているかもしれません。マーケティングには、さまざまなフレームワークが存在します。それらを視点として活用することで、あなた自身の思考が整理され、時に思いつかなかったようなアイデアを導いてくれるものになります。
マーケティングミックスには、4P/4Cという基本的なフレームワークがあります。今回はそれらをしっかりと紐解いていきたいと思います。ただし、マーケティング戦略には事前に環境分析が必要となるため、その点は抑えておいていただきたいと思います。私はランドスケープ分析と呼んでいますが、外部環境を踏まえてマーケティングミックスに取り組んでほしいと思います。
外部環境分析はPEST分析、業界環境分析にはファイブフォース分析、競争環境の把握には3C分析、内部環境の把握にはバリューチェーン分析、市場の機会・業界課題の明確化はSWOT分析をおすすめします。それぞれ非常に価値の高い分析結果が得られると思いますので、時間を要してしまいますがぜひトライしてみてください。では、マーケティングミックスの解説に入ります。
マーケティングの4P
前提として、マーケティング戦略を立てることは大事なことですが、重要度は戦略を1とした時、実践を4としてほしいと思います。戦略は実践があってこそ意味があるものであり、実践なき戦略は価値がないということを肝に銘じておいてください。
さて、マーケティングミックスとは、ブランドに対する感情を動かし、行動に起こしてもらうためのものなので、検討した戦略をどのように実践するかが最も大切です。そのための戦略の選択肢の確率を高めることがマーケティングミックスの狙いとなります。
マーケティング戦略の代表的なフレームワークがマーケティング4P/4Cです。マーケティングミックスとは、行動計画とも考えることができます。マーケティングミックスはSTP分析に付随しているため、ターゲットや他社ブランドとのポジショニングが必須となります。
さて、いよいよマーケティングの4Pについて解説を行います。マーケティングの4Pを用いることで、STP戦略で定めた顧客ターゲットに対して、感情を動かし、購買行動へと喚起させます。マーケティングの4Pとは、Product/商品、Price/価格、Place/流通、Promotion/プロモーションの4つのPという頭文字から構成されており、アメリカの経済学者によって提唱されました。
Product/商品:ターゲットのニーズを満たす商品
Price/価格:ターゲットにとって最適な価格
Place/流通:ターゲットに届く最適な流通網
Promotion/プロモーション:ターゲットに届く最適なプロモーション
これらの重要ポイントを1つづつ解説していきます。
マーケティングミックスの構成要素:商品(Product)
企業の収益の源泉となるProduct製品です。ターゲットのニーズを満たす製品戦略は、「製品の特長」「ブランド」「保証」「サービス&サポート」「パッケージ」の5つの要点に分けて考えることができます。
顧客価値が受ける恩恵からみた場合には、ターゲット顧客の課題に対して、あなたのもつ技術やブランド力を通して、提案できる解決策(価値)を定義することが必要です。世の中にモノが溢れ、あらゆる業界において商品のコモディティ化が進むなかでは、5つの要点について検討する際、顧客が受ける価値を最大化するために何が最も重要になるか、といった視点も必要です。
商品(Product):製品の特長
製品の3層モデルとよばれる、製品の核(コア機能)、製品の形態、製品の付随機能をどのように設計していますか?製品の核(コア機能)については、顧客が許容できる最低限の品質/水準はあるものの、コア機能をどれだけ高めても当たり前品質であり満足度があがることはありません。
しかし、製品の形態や付随機能については、その機能がないからといってすぐには不満につながらないものの、魅力的な品質として他製品よりも優位性があることで顧客の満足度は高まります。製品のもつ要素であるコア機能や付随機能は、競合他社や時代の変化とともに変わる顧客の要求水準によっても変わります。市場の動向や顧客の変化は常に意識しておく必要があります。
商品(Product):ブランド
ブランドに関しては他の記事でもたくさんご紹介していますので、そちらを参考にしていただけるとよろしいのですが、既存ブランドからのブランド拡張か、新規ブランド名で展開するかなどを決めていきます。既存のブランドの傘下にない場合には、どのようなブランド名とするか、どのようなブランドロゴにするかなどの検討が必要になります。
ブランドとは、顧客のこころと頭のなかに存在する、商品やサービス、企業に対する一連の連想として形作られていくものですから、既存のブランドの傘下にする場合には、ブランド拡張による効果と、既存のブランドエクイティを毀損するリスクの双方を意識しておかなければなりません。
商品(Product):保証
保証の有無や期間の長さ、サービス&サポートの有無によって、顧客の不安を軽減する重要な役割があります。顧客があなたの商品を初めて購入する場合や、多機能で使い方が難しい製品の場合には、保証やサービス&サポートの存在は不安の軽減や払拭に重要な役割を担うことになります。
パソコンの保証サービスなどに代表されますね。保証期間の長さは、その製品の信頼性のともいえますが、保証のサービス&サポートが手厚くなるほどに、機会費用につながることから、製品価格にも影響してきます。保証やサービス&サポートを必要とするのか、また、どれくらいの保証期間でどんな体制とするかは、費用対効果を考えながらに判断していく必要があります。
商品(Product):パッケージ
製品の容器としてデザインされたパッケージは、素材により3つのレベルに分けられます。商品が液体である化粧品を例えに上げると、瓶入り(一次パッケージ)で、箱(二次パッケージ)入っていますね。さらに輸送時には、それらの箱がまとめられています。
また、スナック菓子では、一次パッケージと二次パッケージの機能が統合されています。パッケージ設計の段階においては、パッケージが製品のためにどのような役割を果たすべきであるかを検討し、サイズ、形、材質、デザインなどの要素を決定することになります。皆さんにおなじみの「いろはす」は、簡単に潰せるペットボトルでユニークな顧客体験となっていますし、「伊右衛門」は竹筒を表現したデザインやさわり心地で、ブランドの世界観が表現されています。
マーケティングミックスの構成要素:価格(Price)
あなたのブランドを市場で販売する価格です。価格を設定するにあたり、検討すべきものが顧客ターゲットです。値決めは、「顧客が購入できる価格かどうか」「適正な利益を得られるかどうか」という視点での検討が不可欠となります。商品・サービスの値決めには、以下、大きく3種類の方法があります。
・コスト基準型
仕入れ原価に販管費などの必要経費を積み上げ、一定の利益を加えたものを販売価格とする方法です。こちらはメーカー視点で、とてもわかりやすく利益を確保できそうに見えますがが、その販売価格が競合他社に対する価格優位性が築けない場合があり、結果収益性が低いことになってしまう可能性があります。
・競争基準型
自社の経費に加えて、競合他社の値決めや外部環境を考慮しながら価格が設定されます。市場における価格帯との比較の中で、あなたの商品の経費とのバランスを考慮し設定しますが、価格競争を仕掛ける競合他社がいることもあり、プライスリーダーからの影響を受け、追随しなければならないこともあります。市場において、価格競争に巻き込まれる場合には、あなたの会社としての資本力が問われます。
また、昨今市場環境が急激に変化している場合においては、あなたの収益を脅かす代替品が登場するリスクがあることも考慮しておかなければなりません。値決めは、ダイレクトに会社の収益性を左右します。そして、利益感度という事においても、値決めが非常に重要視していますので、競争の中においても収益性を考えておかなければなりません。
・マーケティング戦略基準型
外部環境に囚われず戦略的に価格を設定していく方法です。こちらの価格設定には、ホテルや航空運賃の価格が季節や曜日などの需要の変化に応じて価格が変わったり、初回割引や長期継続割引を設けるといった「価格差別化」というものがあります。また、まとめ買いやついで買いを誘発するために価格を大幅に割り引いたり、品質や付加サービスにによって価格差のあるプランを複数提案する「プレミアムプライシング」があります。
このうち価格差別化は、お試し価格といった低価格の時だけ需要が増えたり、通販などで見られる手法として初回だけ割引で利用できる場合などは一時的な需要が偏るリスクがあります。一方、プレミアムプライシングには、通常価格に対するプレミアム感が顧客に伝わらないこともあります。また割引した商品の大量購入による在庫リスクや需要の先食い、そして、消費者の低価格志向化による収益の圧迫、ブランドの毀損などが考えられます。
また、顧客が負担するコスト(Customer Cost)の観点も重要です。商品を購入する経済的負担以外にも、精神的負担や肉体的負担も存在しますので、総合的に消費者のコストに見合った値決めになっているかを考慮しなければなりません。
マーケティングミックスの構成要素:流通(Place)
Place/流通とは、ブランドを市場に流通させるための販路、流通経路、販売場所のことであり、位置的な場所だけを意味するのでは有りません。あなたがもし販売場所を店舗にすると選択すれば、自社店舗、ドラッグストア、デパート、ショッピングモールなどが候補として挙げられ、類似ブランドや立地なども考慮するはずです。
そして、昨今であれば、ダイレクトマーケティングやインターネットにおける通販という選択もあります。ポイントは、ターゲット顧客に製品を届けられる環境をどのような形態にするか、そして、どのように手に届きやすくできるかを検討します。販売をどのような環境で行うかは、その環境そのものがブランドに影響を与えることもありますので、そのような観点からも選択をしなければなりません。コンビニに並ぶ商品とデパートで並ぶ商品は顧客のニーズが異なりますので、その点も考慮する必要などが出てきます。
商品(Product):要点
Place/流通は、ターゲット顧客があなたのブランドを入手できる環境を整えることであり、以下の5つの要素を考慮してみましょう。
・顧客の購買単位
近頃は、一人焼肉などのお店もトレンドとしてあるようですが、まさに単身者などからの需要に応えている事例です。また、一方では、コストコホールセールのように大量購買のニーズに対して成功している事例もあります。あなたのターゲットはどのような顧客像でしょうか。その顧客像に対して、最適な購買単位を最適化することが必要です。
・サービスを受ける待ち時間
アマゾンで購入すると早ければ翌日に商品を受け取ることができます。それだけ人々は、サービスを受けるまでの時間が短くなっています。そして、そのことを当たり前だと思っています。ブランド側はたとえ時間がかかるサービスを提供するとしても、その待ち時間を苦にさせない工夫をする必要があります。
・利便性
ウェブサイトであれば購入したいと思う商品に容易にたどり着けたり、実店舗ではお目当ての商品がすぐに見つけられたり、ターゲット顧客がどのようにあなたのブランドを利用しているかを知ることはとても重要です。アマゾンはその点を突き詰めた結果、商品ページからワンクリックで購入できる機能をもたせました。また、スーパーマーケットでは、行く前に注文しておいた商品がすでに袋詰にされていたり、またそれを届けてもらったりすることは、ますますニーズの高まりを感じされます。
・適正の品揃え
ターゲット顧客はブランドを選びたいけれども、その真意は選択する行為を省いているとも言うことができます。そのため、ターゲット顧客が選択しやすい種類の中から、「私が選んで購入した」という気分のいい状態になっていただくためには、「選びやすく迷いにくい」商品の品ぞろえに配慮しましょう。
・付随サービス
サポートやメンテナンスというものは、それらを必要とする顧客には大変重要なものです。スマホ、パソコンやウォーターサーバーなど使ってみたいと思うけれども、面倒な設定や工事などを嫌がる方は非常に多いです。判断するに足る知識や情報を持ち合わせていないため、何かあったときに頼れる存在というものは顧客から取ってみればありがたいものです。
Place/流通とは顧客の利便性を高めることであり、顧客ニーズをどのような手段で満たし、購入しやすくするかということを追求することになります。
マーケティングミックスの構成要素:プロモーション(Promotion)
ここまでは、顧客の必要とされる製品をつくり、ターゲット顧客が購入しやすい流通・販売経路を構築することの大切さをお伝えしました。そして、最後の4番目のPは、どのようにして製品を認知してもらうかを考えなければなりません。認知してもらい、購入に至ることがなければ企業は利益を生み出すことはできません。そこで重要になるものがプロモーションです。ターゲットに届く最適なプロモーションとは、広告宣伝、広報・PR、人的販売、セールス・プロモーション(SP)の4つの取り組みからなっています。
・広告宣伝
TV、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなどの媒体を活用するプロモーション活動ですが、ターゲット顧客が定まっていることが前提条件で必要です。というのは、ターゲット顧客の行動延長線上に目に届く形にすることがプロモーションであるからです。ターゲットの顧客インサイトを深く理解し、心に届くクリエイティブを用いていくことで、市場の浸透率を高めていきます。表現においては、どれが正解というものでは有りません。小さな失敗を繰り返し、経験を積んで様々な情報を分析しながら精度を上げていく。そんなイメージです。
・広報/PR
広告宣伝と同時に試したいことが、広報/PRです。これは、広告とは違い、ターゲット顧客から情報として信頼性の高い情報提供の手法になります。企業活動における商品やサービスとは、前提として、顧客の課題や困ったことを解決するから必要とされるわけですが、これらがメディアが記事や情報として広く消費者にお知らせすべきであると判断した場合、広告とは異なるスペースや時間枠に広報されわけです。
テレビで言えば、情報番組でレポーターから紹介されるレストランは広報/PR、番組と番組の間にあるコマーシャルは広告と言えば違いがわかると思います。企業はこれらを上手に活用することで認知度を高め、好印象を持ってもらう努力をしています。
・人的(マネキン)販売
よくスーパーなどで、試食を提供してくれる方をご覧になったことあるかもしれませんが、担当者が営業活動を行うプロモーション活動です。また、訪問販売や営業活動なども該当します。双方向で顧客のニーズを聞き出しながら、セールス活動ができるため、相手を納得させながら商材を販売することができます。あなたも耳にしたことはあるかもしれませんが、人的販売は人件費と呼ばれるコストが発生するため、人的資源の導入はきちんとした利益の確保を目指しながら行いましょう。途中で人材をリストラすることはとてもエネルギーを使うことになります。
・セールスプロモーション(SP)
セールスプロモーションは、店頭におけるPOPや、顧客の自宅に送られてくるチラシやパンフレットなど、様々なものが挙げられます。また、購入金額に応じて付与されるポイントや店頭での陳列などもセールスプロモーションと呼ばれるものです。他にも、サンプル配布やクーポン、キャッシュバックといった価格プロモーションとブランドイメージを向上させる付加価値プロモーションに分けることができます。最近では、SNSを活用したセールスプロモーションもよく見かけるようになっており、企業のプロモーションも様々な手法が用いられています。
マーケティングミックスの構成要素:サービスマーケティングの7Pとは?
マーケティングの4Pは、1960年代に提唱されたマーケティングのフレームワークです。その後サービス産業の発展とともに、さらなるフレームワークが提唱されました。それが、フィリップコトラーの「サービスマーケティングの7P」と呼ばれるものです。もののマーケティングとは異なり、サービスマーケティングと呼ばれるには、以下の条件が求められます。
・無形性(非有形性):サービスは形がなく、無形であるために購入前にイメージが湧きにくい
・同時性(不可分性):サービスは生産と消費が同時に発生する。つまり、その現場での対応となるために、企業はやり直しができない。
・変動性(非均一性):サービスは誰がいつ提供するかで品質を平準化することが難しい。
・消滅性(非貯蔵性):サービスはモノとして蓄えることができないため、需給調整ができない。
このように、サービスマーケティングは、商品マーケティングと比較しても高度なマネジメントが求められることが容易に想像できます。これらを前提として、マーケティングの4Pに加えた3Pの合わせて、サービスマーケティングの7Pと呼ばれます。それは、人(People)、プロセス(Process)、フィジカルエビデンス(Physical Evidence)です。
マーケティングミックスの構成要素:人(People)
人(People)はサービスを提供する人材のことです。従業員にとっては、たくさんの顧客の中のひとりかもしれませんが、顧客にとっては店舗や会社をサービス代表者として、サービスの質そのものがブランドの質として印象づけます。ソーシャルメディアで、「企業 炎上」と検索するとその事例には枚挙にいとまがありません。その逆も然りで、いいサービスを受けたときも神対応と称賛されることも多い。そのような意味で、サービスの提供者としての人(People)がここでは、5つ目のPとして挙げられます。
ところが、人材はそれぞれ能力も考え方も異なります。そのような中でサービスの品質を平準化することは非常に困難と言えますが、高いブランド価値を提供しているお店は、その品質が非常に高いのです。ディズニーランドやスターバックスは接客で満足させる最たる事例です。社員だけではなく、多くがアルバイトであり、そのサービスの品質の高さには目を見張ります。ディズニーランドやスターバックスの従業員は、もともとがファンだったという方たちが多く、そのブランドの「らしさ」をしっかりと理解しています。そしてその上で企業も「らしさ」をさらに深めるための教育を充実させています。元々がファンだった従業員たちが、その場においてパフォーマンス高くサービスを提供するため、顧客をファンにするという好循環が生まれています。元顧客が顧客をファンにして、感情を動かし魅了していく。多くの企業が学ぶことができるお話です。
サービス・プロフィット・チェーンとは、
(1)従業員向けサービス品質がESの原動力となり、
(2)高いESによって、高い従業員ロイヤリティが生まれ、
(3)高い従業員ロイヤリティによって、生産性向上につながり、
(4)従業員の生産性向上が、サービスの品質向上につながり、
(5)サービスの品質向上が、CSの原動力となり、
(6)高いCSが、顧客ロイヤリティの原動力となり、
(7)高い顧客ロイヤリティが、企業の収益性と成長性の原動力につながる。
というものです。つまりディズニーやスターバックスでおきている現象は、
(1)高いブランド力によりESの原動力となり、
(2)高いESによって、高い従業員ロイヤリティが生まれ、
(3)高い従業員ロイヤリティによって、サービス向上につながり、
(4)従業員のサービス向上が、CSの原動力となり、
(5)高いCSにより、顧客のブランドロイヤリティが生まれ、
(6)ブランドロイヤリティが高まることで、ファンの雇用につながり、
(7)ファンの雇用が、企業の収益性と成長性の原動力につながる。
といった流れになります。サービス・プロフィット・チェーンは従業員のブランドロイヤリティこそがサービス業の収益性と成長性につながり、人材そのものが競争力になるという考え方です。あなたの企業や商品に憧れて入った人材に適切な教育を行い、ファンとして従業員が育つことで企業にとっては好循環を生み出す事ができるのです。
マーケティングミックスの構成要素:プロセス(Process)
プロセス(Process)とは顧客にサービスを提供する際のプロセスや体験のことを意味します。大きく分けて、3種類。サービスを受ける前、サービスを受けている最中、サービスを受けた後です。そしてその目的は2つあり、効率性の向上とブランド体験の向上です。
効率性の向上といえば、よいサービスを提供するために、例えばサービスを提供する前後では顧客管理システムの改善や効率化が挙げられます。ファーストフード店においては、製造と接客において、従業員の動きに無駄をなくすことだったりもその最たる例と言えます。従業員の無駄な動きをなくすために調理器具が配置されているのです。ハンバーガーを1つ作るのに、1秒削減できるとして年間で換算すると、日本中、世界中の店舗数を考えると、1秒が積み重なるだけで莫大なコストの削減になります。それはつまり顧客を待たせる時間も削減できるわけですから、顧客と企業の双方にメリットがあるわけです。
そして、ブランド体験の向上。先にも触れましたが、注文を終えて、いつまで経っても品物が届かないというのは、顧客にとって相当ストレスになります。それを1秒でも早く提供することは、顧客にとっては知らず識らずのうちに満足度が積み上がっているわけです。その点、アマゾンは当日配送という驚異的なプロセスを確立しており、提供されるプロセスを体験することによって消費者は感動すら覚えるわけです。このプロセスはとても大事です。もしあなたが日々の仕事で顧客を待たせているとしたら、それは徐々に顧客を失いつつあるということを意味しているのかもしれません。
マーケティングミックスの構成要素:フィジカルエビデンス|物的証拠(Physical Evidence)
フィジカルエビデンス|物的証拠(Physical Evidence)とは、サービスを提供する際の、顧客を納得させるようなツール、事実、演出などを意味します。サービスには「無形性(非有形性)」「変動性(非均一性)」「消滅性(非貯蔵性)」であるた、顧客の記憶に残るブランド体験を高めることが重要です。記憶に残るブランド体験を提供するためには、フィジカルエビデンス|物的証拠(Physical Evidence)が求められます。
安心感を与える為に契約書にてサービスの品質を保証したり、空間、音楽、デザインなどによって心地よい印象を顧客に与えるのが、サービスマーケティングの実施には不可欠です。フィジカルエビデンス|物的証拠(Physical evidence)は、形のないサービスの中でも有形物としてサービス品質を裏付けるものです。
フィジカルエビデンスに求められることは、一貫性と統一性です。その一貫性と統一性があるからこそ、人の脳で整理され、より記憶に残りやすくなります。ブランドにおける世界観を作り出すためには、このフィジカルエビデンス|物的証拠(Physical Evidence)は非常に重要です。
マーケティングの4C
ここまで「マーケティングの4P」「マーケティングの7P」について解説してきました。これからは「マーケティングの4C」について簡単に解説していきます。「マーケティングの4C」の構成要素は次に挙げられます。
・カスタマーバリュー(Customer Value):顧客が得る価値
・カスタマーコスト(Customer Cost):顧客にとっての負担
・コンビニエンス(Convenience):顧客の立場からみた入手利便性
・コミュニケーション(Communication):顧客とのコミュニケーション
マーケティングの4C:カスタマーバリュー(Customer Value)
カスタマーバリュー(Customer Value)は、マーケティングの4Pのプロダクト(Product)にあたります。商品やサービスを、企業目線で考えるとプロダクト(Product)のことをスペック重視になってしまいがちです。それを視点を変えて、顧客が得る価値、カスタマーバリュー(Customer Value)と捉え直すことにより、顧客が感じられる価値をどのように商品・サービスに活かすかという視点が持てるようになります。顧客が欲しいものは、スペックだけではありません。企業は、企業の目線と顧客側の目線を両方活用できなければなりません。
マーケティングの4C:カスタマーコスト(Customer Cost)
次は、マーケティングの4Cの2つ目「カスタマーコスト(Customer Cost)」です。このカスタマーコスト(Customer Cost)は、マーケティングの4Pのプライス(Price)にあたります。商品やサービスの費用のことを4Pのプライス(Price)とだけ考えてしまうと非常に限定的な意味になってしまいます。顧客があなたの商品やサービスを手にするために支払う代償は金銭的なものだけではないことを理解しておきましょう。顧客が支払うコストには、以下のようなものも代表的に挙げれます。
・時間的コスト
例えば「あなたの店舗にまで足を運ぶ時間の長さ」「商談時間の長さ」「商品を利用できるまでの準備期間」などその時間を書けるくらいなら他の商品がいいと判断する人々も現れます。
・心理的コスト
商品やサービスを購入するときの「引け目」「負い目」「心理的な障壁」を意味します。購入するときに、贅沢をしているんではないか、妻に隠れてこっそり買って支払いは大丈夫だろうかなどがそれに当たります。
・労力的コスト
「商品を探す手間」「申込資料記入の手間」「重い商品を運ぶ手間」などがその一例であり、面倒や不便を感じさせる労力があると金額以上にコストを感じてしまいます。
このように価格(Price)をカスタマーコスト(Customer Cost)と置き換えることで、顧客の視点となることができ、今まで気づかなかった顧客のコストを見つけることができるようになります。
マーケティングの4C:コンビニエンス(Convenience)
マーケティングの4Cの3つ目は「コンビニエンス(Convenience)」です。このコンビニエンス(Convenience)は、マーケティングの4Pのプレイス(Place)にあたります。こちらも上記2つと同様に「プレイス(Place)」を場所という意味だけで捉えてしまうと非常に限定的になってしまいます。
アマゾンやコンビニエンスストアがこれだけの企業になったのは、まさにこのコンビニエンス(Convenience)に非常に強いからだということは周知のとおりです。今までであれば、「どこかに買いに行かなければならなかったもの」や「たくさんの商品から選ばなければならなかったもの」がそれらは余計な労力ということでもあり、選ぶ手間や購入する手間がないということは、非常に強力な差別化になるということです。4Pのプレイス(Place)を場所として考えるのではなく、コンビニエンス(Convenience)と捉えることで、より顧客視点のマーケティングが可能になります。
マーケティングの4C:コミュニケーション(Communication)
マーケティングの4Cの最後はコミュニケーション(Communication)です。このコミュニケーション(Communication)は、マーケティングの4Pのプロモーション(Promotion)にあたります。プロモーション(Promotion)を販売促進と一方通行に考えるのではなく、コミュニケーションを、つまり顧客との関係性を高めることと定義することで、そのための施策が全く異なったものになります。
例えば、ハーレーダビッドソンやMINIなどは、ユーザーをファンとして考え、そのコミュニティを形成することを支援しています。その結果、ファン同士がいい関係となり、店舗や商品に対するロイヤリティが向上します。プロモーション(Promotion)を販売促進と捉えるだけではなく、コミュニケーション(Communication)と捉えることで、顧客との関係性という広い視野で物事が考えられるようになります。
マーケティングの4Pとマーケティングの4C
「マーケティングの4P」は「マーケティングの4C」と一緒に活用することがおすすめです。「マーケティングの4C」を提唱したロバート・ラウターボーンは、4Pの前に顧客視点で4Cの検討が重要と主張しています。また、マーケティング担当者は、自社の資源を活用することを考えながらも、顧客を4Cの視点で検討することで、4Pの設定も行いやすくなると考えています。つまり「マーケティングの4P」は「マーケティングの4C」はどちらも必要であり、どちらか一方だけが重要とか比較の対象になるものではありません。両軸を使いこなして初めて見えてくる戦略もあることでしょう。