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ブランディングのためのおすすめ書籍
私はこれまで様々なブランディングに関する本を読んできました。その中から、おすすめの書籍22冊をご紹介します。
それぞれの書籍の概要や、どのような方向けかもあわせて書いているので、ぜひ参考にしてください。
ブランディング 7つの原則【改訂版】 成長企業の世界標準ノウハウ
私がこの書籍に出会ったときは、今のように体系的にブランドのことが理解できてはいませんでした。著者であるインターブランドという会社は、ブランド構築を体系的にやってきており、当時のインパクトは非常に大きかったです。ブランディングとは何かを語り、ブランドオーナーの意志が活動の軸でなければならないと伝えています。確かにクライアントの意思決定者が複数いる場合は、意思決定に時間がかかったりするケースがあり、クリエイティブの方向性がバラバラになったりします。
また、ブランド価値の数値化ということにも取り組んでいけるのだと学んだ一冊です。どちらかと言えば、ブランディング会社を目指す方が読むと勉強になると思います。
ブランド戦略論
こちらの書籍も非常に勉強になります。ただ、一般のブランディングを学びたいという方向けではなく、職業でブランディングを行っているプロ向けの書籍になります。
内容は、理論、戦略、実践、事例編に分かれていて、興味のあるところから読みはじめてもらっても大丈夫です。私は戦略に興味がありました。この本の戦略の組み方には、今でもすごく影響を受けています。外部分析、内部分析、戦略立案という流れですが、その手順を1つづつ丁寧に積み重ねていくと、きちんと戦略が出来ます。
ただし、戦略には深みが必要なので、次のステップに進んだ際に前の分析との齟齬がないように何度も行ったりきたりしながら整合性が生まれるように進めていただきたいと思います。ブランディングを極めていきたいと思うプロ志向の方におすすめします。
D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略
この本は2020年になってから発売されたもので、新しい考え方を身につけることが出来ます。ターゲットはミレニアル世代で、ブランドとテクノロジーによる顧客体験を学ぶことが出来ます。ブランドはこれからテック企業になることで新しい活路が見いだせると感じさせてもらいました。テック企業が社会と人々の行動様式を変えていくと言われている中で、デジタルへの移行はますます進んでいき、テクノロジーはこれから人々が想像している以上に世の中を変えていきます。
企業はブランディングと顧客体験という範囲において、テクノロジーを活用できるかがこれからの世代に向けての訴求ポイントになってくることは間違い有りません。企業としてイノベーションを必要としている方にとっては参考になる一冊です。
ブランディング 顧客体験で差がつく時代の新しいルール
こちらの書籍は非常にシンプルでわかりやすくブランディングの基礎的なことが説明されています。ブランドとは?というものを知りたい方にはおすすめです。おそらく読者の対象がビギナー向けということもあって、これ一冊で戦略が分かり、概念的な入門書として読みやすいと思います。これからブランドというものを学んでいきたいとか、プレゼンがあるという場合には便利です。
企業が思い描くブランド像と消費者をはじめとした顧客が思い描くブランド像は全く違います。ブランドを想起させるということは、記号を価値へ変換させることであるといえます。つまり、ロゴや看板を見て、ブランドの価値を想起させることで、企業は他社よりも顧客に選ばれやすくするということです。
ブランド論
こちらはデビッド.アーカーというブランド戦略の権威による書籍です。ブランドを会社の資産として考え、その価値を強化するための理論が語られています。ブランドビジョンやブランドパーソナリティという言葉も、私はこの書籍で学ぶことが出来ました。またブランドは、優位性が大切でありその優位性をもたらすために企業は事業活動全てにおいて一貫性を持たなければならないと説いています。
そのためには、社内向けと社外向けのブランディングがその役割を果たします。そして、ブランド拡張についても触れられています。企業の成長とともに新市場や新商品への展開が行われますが、どのようにブランドを拡張していくか、そしてそのポートフォリオをどのようにするか、そのリスクとメリットが説明されています。
ストーリーで伝えるブランド
シグネチャーストーリーとは、あなたのブランドを象徴するストーリーのことです。ストーリーテリングとは、伝えたいことを相手に想像させながら語るということです。その中でもシグネチャーストーリーは、ブランドを強化する力を持ち購入してもらうための説得材料となります。
では、シグネチャーストーリーはどのようなものなのでしょうか?それは、あなたの価値観を伝えるということであり、高次の目標を大切にしなければなりません。
高いビジョンや目標をストーリーとして、顧客、従業員、経営陣に伝えることであなたが目指すべきブランドを生み出せるのです。また同時に、その高次のストーリーはより高く育てていかなければなりません。ストーリーは自然に生まれるものではなく、あなた自身が生み出していくものなのです。
ブランドマーケティングの再創造
ブランドマーケティングに関する世界的な権威である、ジャン・ノエル カプフェレ教授。今ブランドが求められていることを改めて考えさせられる一冊です。マーケティングコミュニケーションにおいて、見込み客を説得するためには信用という要素が必要であると企業は求められています。商品やサービスが求められることにおいて、企業というものは差別化には値しないけれども、信頼性や正当性、保証というものを付与し、専門性や倫理というもののしるしになります。そのためには、使命感を持つことが企業に求められます。
カプフェレ教授は、フランスの大学の教授であるため、ヨーロッパの事例がふんだんに含まれていることが関心をそそります。企業ブランドが差別化に値しないというのは、おそらく出版当初の時代背景もあったと思います。
現代においては、SDGsやエシカル消費といった時代背景があるため、コーポレートブランディングが見直されていると私は感じます。そして、そのコーポレートブランディングが企業が選択されるための大きな手段になっていることは間違い有りません。話は戻りますが、教授はヨーロッパの企業の事例が非常にふんだんにあることもこの書籍の魅力です。
ブランディングの書籍は、アメリカ発が多い気がしますが、ヨーロッパのブランドに対する見方が微妙に異なるのはとても興味深いと思います。
ブランド優位の戦略
ブランドは、競争戦略と言われています。そのため、カテゴリートップを目指すことが強いブランドであると言いかえることが出来ます。「当社はブランディングしています」と語られる方でも、本当に強いブランドであるかは是非があると思います。
デビッド.A.アーカーは、この強いブランドをどのようにして構築していくかをこの書籍で表しています。ブランドを資産と考え、ブランド認知、知覚品質、ブランド・ロイヤルティなどブランドを強くするためのフレームワークや考え方が専門的に理解できます。また、ブランド構築するためには強い組織が必要とも語っています。たくさんの広告費を投入すればそれだけブランドを強くすることはできるかもしれません。しかし、組織が育っていなければブランドは一夜にして崩れてしまう可能性があります。
この書籍からは、ブランドを強くするということは、経営を良くすることに直結する、そのような学びを得ることが出来ます。
ブランディング 7つの原則【実践編】 持続可能なビジネス成長の実践ノウハウ
ブランドがあらゆる事業をドライブするということ、つまり、ブランド戦略はあらゆる戦略を後押しする機能があります。ブランドとは、Living business assetと呼ばれます。常に変化するビジネスアセットであると考えられているためです。ブランドを創ることは顧客の中に確固たる評判・存在感を確立することと言えます。強いブランドは、人材を魅了し、人材を繋ぎ留め、やる気を高める。モチベーションを高めた社員の活動が顧客に伝わることで、商品・サービスを選んでもらい、高く買ってもらい、買い続けてもらう事ができ、経済的な価値を生む。
従って、組織の構成員である従業員が「ブランドの中核概念(目指す姿)」を深く理解し共感することが、非常に重要だと説いています。この【実践編】は、インターブランドジャパンが取り組んでいた事例を交えているため、理解が深まります。
戦略的ブランド・マネジメント
この書籍では、ブランドエクイティ構築のためのマーケティングプログラムとそのための具体的な手法が整理されています。ブランドエクイティの構築を目的とした統合型マーケティングコミュニケーションプログラムの開発により、ブランドの強化を図ることができます。また、ブランドのパフォーマンスの測定も言及されています。どの数字を抑えておくかは、各社異なると思います。
そして、ブランディング戦略の設計と実行に移り、ブランドの拡張や長期的なブランド管理の手法について学ぶことができます。ただ、なんと言ってもこの書籍は、約800ページありますので、その道の専門家向けの本になります。この書籍1つでブランドに関する知識の専門性は間違いなく高まると思います。
ブランド・ポートフォリオ戦略
「ブランド・ポートフォリオ戦略 (brand portfolio strategy) とは、ポートフォリオの構造とそのブランドの範囲・役割・相互関係を明確にするものだ。その目標はポートフォリオにシナジー、レバレッジ効果、明確さを持たせ、関連性があり、差別化され、活力あるブランドを創造することである。」と定義されています。
もしあなたが複数のブランドを抱えているのであれば、そのポートフォリオを考えながら、カニバリゼーションが起こらないように新商品・新ビジネスを考えられたのだと思います。ただ、おそらく専門的にポートフォリオが作られてはいないのではないでしょうか。ここで重要なことは、ブランドポートフォリオは戦略であるということです。そのため自らが意図したポートフォリオが実現できるのだということです。ただしそれが勝てるポートフォリオかどうかは、様々な情報収集の後に正しい判断にたどり着けると思います。
ケラーの戦略的ブランディング
ブランドポジショニング、ブランドビルディングブロック、グローバルブランド・エクイティに関するケラー教授の考察が提示されています。
あなたは最も強いブランドとはどのようなものか考えたことはありますか?市場でどのように1番となったのか、リーダーの条件を探りながら、ブランド構築の4つのステップがまとめられています。ブランドマントラという考え方も紹介されているが、新しい概念を加えることも教授という立場になれば自由なのかと考えてしまった一冊。
唱えられているインターナルブランディングも現在はインナーブランディングと呼ばれる方が多いと思うし、時代の変遷とともにブランディングの概念も変わってきたのだと思います。ケラー教授の2003年の著書。
選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方
こちらの書籍は、インターブランドの元コンサルタントによるものです。ブランド戦略はマーケティングの戦略の一環と思われてしまいがちですが、そうではなく、経営戦略と並走するものであると学ぶことが出来ます。そして、競争戦略としてブランドをどう活用していくかを論じており、多数の事例により理解が深まりやすくおすすめです。
コンテンツは、以下の通りです。
- ブランドの基本的機能と役割
- ブランド戦略と企業戦略との関係
- ブランドマーケティング
- ブランド体系
- ブランドポートフォリオ
- ブランド拡張
- ブランドマネジメント
- ブランド戦略策定の作業フロー
ブランドコンサルタントとしての実績が豊富であるため、経営戦略とコミュニケーションの両方が深まります。
事例で学ぶブランディング ランドーのデザイン戦略大公開
ランドーアソシエイツ社による、確立されたブランディングの調査・戦略・デザインなどの方法論とツールが紹介されています。事例が豊富にあるため、保存版としておすすめします。
一つ一つのプロジェクトごとに前提条件からデザイン開発のプロセスまで紹介されているので、デザイナーだけではなく、ブランドマネージャーやコンサルタントにも広く活用されるものだと思います。こんな一冊欲しかったと思えるクオリティです。
ブランド戦略全書
非常に幅広く研究されている方の書籍だと思います。歴史から戦略までこれ一冊でブランドが理解できると思います。独自のフレームワークも紹介されていて、中〜上級向きの書籍だと思います。
実はわたしもこの書籍を参考にとことん戦略づくりに勤しんだ結果、本当にいいブランド戦略を練ることが出来ました。その立ち上げた事業も順調に伸びていますし、この一冊に助けられました。おすすめします。
ブランディング22の法則
私はアメリカに住んでいたので、よく知っている会社が紹介されていて学びになりました。22の法則と結びつけて、どのようなブランド強化の手法があるかを解説しています。ブランドとは認識であり、そのための戦略を法則という形でまとめています。
今の時代、ブランドが注目されているのは、セールスがうまく行かなくなってきているという背景があると語られています。たしかにセールスの手法が変化しているのはわたしも同感です。
販売目的だと悟られると人々は急に引いてしまいますが、あの人から購入したいと思ってもらえるようにブランドを強くしていくための良いヒントがあると思います。
社員をホンキにさせるブランド構築法
いい切り口のテーマだと思います。ブランディングというものは、一部の会社の人物だけで取り組めるものではなく、組織的に会社全体として取り組む命題です。その重要性を理解されているこちらの書籍は、ブランディングの初心者から中級者向きだと思います。
ブランドってなんですか?というテーマから、中小企業の事例まで広く学んでいけます。そしてそこから深堀りをしていくためのブランディングの入り口としておすすめします。ブランディングとマーケティングって重なることはありますが、立ち位置が異なりますし、それらを理解しながら読み進めていくことが出来ます。
ブランディングは組織力である
ハーバード・ビジネス・レビューからのアンソロジーです。特に企業ブランディングを中心として、社内で醸成したブランドをどのように強化するかを各専門家が語ってくれます。
ブランディングというものは、非常に多面的な視点を持たなければなりませんが、それらを一つ一つ理解が深まるように解説されています。ブランドの評価をどのようにしていくかということにも焦点が当てられており、世界的な研究者のお話がまとめて紹介されているのもこの書籍の魅力です。ぜひブランディングの担当者や責任者には一読して欲しいと思います。
戦略的ブランド経営
ブランド発想が事業戦略と企業戦略の質を高める、まさに仰るとおりです。実はブランド目線で経営を考えると、経営に新たな気付きや解決策が提示されます。
ブランド目線になるためには、ブランドを定義することや定義したブランドをどのように成長させていくかという命題に同時に取り組んでいかなければなりません。別の言い方をすれば、定義したブランドによって自らの姿勢を正すことになり、結果ブランドが表現されるということです。
そして、これらのことは終わりがないということを知った上で、どのように行動を変化させるかが大事で常にアップデートしなければなりません。ブランドは理論理屈ではなく、実践哲学であることに気付かされた一冊です。
ブランド力
2020年春、多くの企業がコロナの影響を受けており、常に企業は危機感を持つことが求められています。そのような中チャレンジを重ね、自社の企業でなければできない仕事を追求していかなければなりません。
ブランドを高め強くするということは、まさにそのプロセスの中に、自社でしか出来ない事業を見つけることと表裏一体なのです。企業活動は全てブランド構築に繋がる、その一言につきます。そしてそのブランドは従業員さんの手によるものです。
カプフェレ教授のラグジュアリー論
ラグジュアリーブランドはなぜ人々から憧れの的となっているのか、そんな疑問があったことから私はこの本に関心を寄せました。様々な時代や場面において、ブランドは逆境という状況に身を置くことになります。
しかし、その中でも価値を落とさず、現代まで生き残ってきたこれらのラグジュアリーブランドには理由がありました。ブランドとは何かを語るものではなく、そのブランドにどのような物語があったかがうかがい知ることが出来ます。ブランドを語る上でラグジュアリーブランドは外せません。
ラグジュアリー戦略
こちらもカプフェレ教授の書籍です。人って元々贅沢が好きな前提ということを学ぶことができました。その人がもともと持っている特性に対して、贅沢な商品やサービスが受け入れられることは理解できます。
ところが、その贅沢なブランドを維持し続けることはそんなにかんたんなことではありません。顧客もスペシャルでなければなりませんし、ターゲットは誰でもいいわけということではダメなのです。贅沢なブランドというものは、実は収益性が高いと言われており、顧客もその贅沢な体験を求めています。これからもし贅沢なブランドを作っていきたい、そして、強いブランドにしていきたいという方は非常にヒントになると思います。
まとめ
ここでは、ブランディングを理解する上でおすすめの本22選をご紹介しました。どの本も興味深い内容が書かれており、わたし自身が大変参考にした書籍もあります。
もしブランディングで悩んでいるのであれば、当社のような専門企業がお力添えすることもいいでしょう。実際に当社が行ったブランディング事例もご一読いただけると嬉しいです。