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強いブランドを作るためのブランドアイデンティティとは?構成要素や事例もあわせて解説します
ブランドアイデンティティとは
あなたは、自社のブランドアイデンティティについて考えたことはありますか?アイデンティティは「自己同一性」という難しい言葉で訳されますが、簡単な言葉でいえば「〇〇らしさ」と表現できます。あなたの会社の「ブランドらしさ」をしっかりと定義づけることを、ブランドアイデンティティ戦略と呼びます。
「ブランドは、マーケティングの結果構築されるものである」「いい商品・サービスであれば、自ずとブランドは育つ」とおっしゃる方がいます。良い製品を作ることや戦略的なマーケティングを行うことは重要ですが、それであなたが理想とするブランドが育つと本当に言えるでしょうか。
別の記事でもお伝えしていますが、ブランディングはマーケティングの上位概念です。ブランディングにマーケティングは必要ですが、マーケティングを行えばブランディングができるというのは誤った考え方です。欧米に比べて、日本ではあまりブランディングについて研究されていませんでした。そのため、「ブランディングはマーケティングを行う中で自然と構築されるもの」という誤った考え方ができてしまいました。
マーケティングはロジカルに考えて実行しますが、ブランディングはとても抽象的・定性的であるため、経営をする上での判断基準にすることはできません。経営をする上で判断基準になるのが、当記事で解説するブランドアイデンティティやブランドパーソナリティなのです。
ブランドアイデンティティの活用と強化方法
まずは、企業がブランドアイデンティティをどのように生かしていくべきかを解説していきます。そして、ブランドアイデンティティをどのように強化していくかを共有していきます。
ブランドアイデンティティを理解してあなたの事業に取り入れることで、戦略的にブランドをマネジメントできるようになります。なぜなら、ブランドアイデンティティはブランディングにおいてやるべきこととやってはいけないことの判断基準そのものだからです。
デービッド・アーカーは、著書で以下のように述べています。
ブランドには、「ブランド・ビジョン」が必要である。そのブランドにこうなってほしいと強く願うイメージを、はっきりと言葉で説明したものだ。
(出典:デービッド・アーカー著 「ブランド論」)
ブランドアイデンティティとは、自社におけるブランドというものを規定していく中で、明確に言葉になってくるものであるといえます。
「BI/ブランドアイデンティティ」とは、送り手である企業側の意図であり、企業側がそのブランドから連想して欲しい願うものであるのに対して、「ブランドイメージ」とは受け手である消費者側の認識である。
(出典:デービッド・アーカー著 「ブランド論」)
ブランドアイデンティティは、企業側の意図するものでなければなりません。「私らしさ」は「私」が決めなければならないということです。
会社の経営理念は、同じような機能を持つのではないかと思います。経営理念は、会社の目指す方向性であり、会社の判断基準です。ブランドアイデンティティもまさに同じで、ブランドアイデンティティによって商品・サービスのブランドらしさを定義づけることで、判断基準になります。
そしてブランドアイデンティティを強化するためには、企業がブランドの理想の姿を連想し、意図して作り上げていくことが大切です。経営理念が商品・サービスや人材のある意味での枠組みになることとと同様に、ブランドアイデンティティも一つの枠組みであり、全社的に共有していくべきものです。
ブランドアイデンティティシステム
ブランド論の権威であるデービッド・アーカーは、ブランドアイデンティティシステムというものを解説しています。ブランドアイデンティティに似た言葉であるため、少し整理しましょう。
ブランドイメージとは、ブランドが消費者にとってどのように知覚されているかを表しています。対してブランドアイデンティティとは、企業のブランド戦略担当者が消費者に対して、どのようにブランドを知覚されたいと思っているかを意味します。
ブランドアイデンティティの源泉となるものは、4つに区分されます。これらはブランドの本質的な強みになるものです。
①製品としてのブランド
難しい表現になるかもしれませんが、デービッド・アーカーは「製品分野、製品属性、品質・価格、用途、ユーザー、原産国」がブランドアイデンティティの源泉であるといいます。
製品属性の例を挙げると、ダイソンの「吸引力が変わらない唯一の掃除機」という「サイクロンテクノロジー」が上げられます。またアップルの優れたデザイン性は、デザインそのものの品質がブランドの源泉と言うことができます。
②組織としてのブランド
組織属性は価値提案に貢献することができます。3Mのような革新的な会社は、その企業文化を作り出す組織がブランドアイデンティティの源泉といえます。また、デザイン思考のIDEOも同様に組織が源泉であるといえます。
③人としてのブランド
人としてのブランド、つまりブランドと顧客の関係性です。消費者がブランドパーソナリティを表現する手段となる自己表現的便益を生み出すことに貢献します。
つまり、ブランド利用者のパーソナリティがブランドアイデンティティの源泉となるパターンです。難しい表現になりますが、ロレックスを身に着けていると自分自身が高級感のある人格を備えているような気持ちになれますよね。(余談ですが、若い頃上海で偽物のロレックスを購入しましたが、自分自身が偽物のような気持ちになり、すぐにゴミ箱に捨ててしまいました。)
ロレックスは人々が「上質な生活を好む」オーナーのパーソナリティをブランドアイデンティティの源泉としているブランドマネジメントの事例です。
④シンボルとしてのブランド
「ビジュアルイメージとメタファー、ブランドの伝統」をブランドアイデンティティの源泉としています。ディズニーは「魔法の国」というメタファーをブランドアイデンティティの源泉としたブランドマネジメントの成功例です。また、博多通りもんは「博多の西洋菓子」というメタファーとも言えますね。
なかなか難しいことをお伝えしていると感じますが、あなたはどのようなブランドアイデンティティを持たせて自社の商品・サービスを設計していきますか?
ブランドビジョンについて
ブランドアイデンティティは少し理解が難しいかもしれませんが、ブランドビジョンと同じ意味を持つものだと私は考えています。ブランドビジョンとはブランドの「らしさ」、つまり独自性を定義づけるものです。
デービッド・アーカーのブランド論が発表されてから時間が経過したこともあり、昨今はあなたのブランドの意図だけではブランドの定義を作ることが困難な時代になっています。そこで、ブランドビジョンという概念が出てきました。ブランドビジョンは、消費者がメディアとなるソーシャルメディア時代に合わせた考え方であるのではないかと思います。
メディアには、3つあると言われています。
- オウンドメディア
- ペイドメディア
- アーンドメディア
オウンドメディアとは自社のメディア、つまりウェブサイトやメルマガ、パンフレット、店舗など、自社が所有するメディアです。ペイドメディアはテレビCMや新聞広告、オンライン広告、看板などお金を支払って購入するメディアです。アーンドメディアはFacebookやtwitter、Linn、口コミサイトなどで、利用者から評判を獲得するメディアです。
この3つのメディアは、これまでオウンドメディアとペイドメディアが主流でした。しかし、アーンドメディアが普及し、ブランドアイデンティティでメディアをコントロールすることができなくなってきました。そこで、ブランドビジョンが必要なのです。ブランドビジョンにより、消費者を自社ブランドに巻き込む必要があります。
ブランドビジョン、つまりあなたの会社や商品・サービスの姿勢や在り方が消費者の共感を獲得し、彼らを巻き込みながらブランドと社会的な価値を創造していくことが企業に求められている時代になっています。
では、この「ビジョン」をどのように設定していけばいいのでしょうか。具体的に「ビジョン」の構造について考えながら説明します。その構成要素は以下になります。
- そのブランドのポテンシャルや強み(潜在的能力)
- ブランドのもつ人格(パーソナリティー)
- 象徴的なことがら(シンボル)
- ブランドが具体的に提供するもの(機能的価値)
- 喜んでもらいたい人の価値観(ターゲット価値観)
- ターゲットがいだく喜び(情緒的価値)
- ブランドとターゲットが築くべき関係性(関係性)
①そのブランドのポテンシャルや強み(潜在的能力)
ブランドのポテンシャルや強みについては、デービッド・アーカーの製品としてのブランドにも触れましたが、独自性をもった他社よりも優れている強みになります。それは特許や自社にしかない技術などが挙げられます。SWOT分析で明確にしてみましょう。
大切なことは、マーケットや他社の行動を把握していくことです。その中でどう独自性を研ぎ澄ませるかが考えなければならないポイントになります。
②ブランドのもつ人格(パーソナリティー)
人格は、「信頼できる」「格調が高い」「おいしい」などの形容詞に例えることができます。私が行っているワークショップでは、形容詞で3つのワードくらいに絞ってパーソナリティを定めていきます。
メルセデス・ベンツは、「高級感がある」「強さ」「存在感がある」などかもしれません。レクサス「奥深い」「優雅」「ダイナミック」などと表現できます。
③象徴的なことがら(シンボル)
象徴的なことがらは、主にロゴやスローガンなどのブランド要素に代表されます。また、ソフトバンクの孫さんやHISの澤田さんなども会社のシンボルということができるでしょう。同様に、会社の営業やサービス提供者なども会社の代表として現場で活躍しています。
一方で、バイトテロなども人によるものです。消費者の五感に触れるものが、象徴的な事柄になります。
④ブランドが具体的に提供するもの(機能的価値)
こちらは以前にもお伝えした機能的な価値です。ユニクロであればリーズナブルで高機能な機能的価値、いろはすであればきれいなお水を提供しています。機能的な価値設定は、消費者とのコミュニケーションにおいて明確にしておく必要があります。
機能的な価値というものは、差別化が難しいと考える方も多いかも知れません。ブランディングにおいて「価値とは創造し続けるもの」であるといえるため、機能的価値を高め続けることも一つの戦略になりえます。
その代表例として、ユニクロのヒートテックが上げられるのではないでしょうか。一般的な下着でも暖かさという機能を追求することを諦めなかったことで、圧倒的にブランド価値を高めた事例です。海外では同様の商品を見かけたことはありません。ユニクロのヒートテックはニューヨークでも非常に売れています。
⑤喜んでもらいたい人の価値観(ターゲット価値観)
次にお伝えするのは、ターゲット価値観です。ターゲットはSTP分析やペルソナ設定で明確にしますが、その中でもターゲットの価値観というものを考えてみてください。これは、ターゲットが商品・サービスに対してどれだけの熱量を持っているかを知ることが狙いです。
ルイ・ヴィトンが王室などのセレブリティをターゲットと設定していることが一般の消費者の憧れを生み出し、ブランド価値を高めているのだと思います。王室やセレブリティを満足させるだけの商品やブランドを高めるルイ・ヴィトン活動や考え方こそが、ブランドの根幹にあると私は考えています。
⑥ターゲットがいだく喜び(情緒的価値)
先ほどユニクロといろはすを例に上げました。ユニクロは機能的価値を圧倒的に高めましたが、いろはすは飲料水において情緒的価値を高めることに成功しています。いろはすが発売されるまで、お水は生産地がブランドになっていました。六甲のおいしい水、富士山のバナジウム天然水などです。
いろはすは産地ではなくペットボトルの回収スタイルがエコにいいというプロモーションを行いました。人々は喉を潤すだけではなく、環境にもいいことをしているという貢献欲求を満たすことができたのです。その結果、他のお水との差別化を実現しました。ブランディングの好例です。
また、情緒的価値や機能的価値を追求することで、現場で働く社員さんに対しても価値を意識づけることができます。これは、仕事への喜びを生み出すことにもつながります。企業価値も大切な一端を担うことは、現場で働く従業員さん自身のブランドを高めることにも役立つのです。
⑦ブランドとターゲットが築くべき関係性(関係性)
ブランディングの目指すゴールは、お客様のファン化です。ファンとなったお客様がブランドをさらに高めてくれる存在になります。
お客様にもブランドの理解を図るための情報を伝えていき、顧客接点時にプラスの印象を持ってもらえるようにブランド戦略としての経営哲学を従業員に浸透させていく。その一貫性が大変重要なこととなのですが、目指すべきはお客様と一緒にブランドを高めていくことです。ひとりひとりのお客様を幸福にするという意識を高めていく会社を目指していいただきたいと思います。
ブランドビジョン2.0
ここからはブランドビジョン2.0として、ソーシャルメディア時代のブランディングでは消費者との関係性をどのように捉えていくべきかをお話したいと思います。ブランドビジョン2.0とは、「消費者と作り上げるブランドの未来像」です。
昨今ではSDGsやCSVという考え方を、企業がどのように取り組んでいくかが注目され始めています。持続的に成長発展していく社会を消費者とどのようにしてつくるのか、これが経営をする上で非常に重要になってきています。
今問われているのは、まず私たちがどのような考え方で社会を動かしていくかです。ソーシャルメディアは、個々の行動が社会へインパクトを与える影響力を持っています。
人々の中には、自分たちの消費活動がどのような貢献をしているのか重要視している方や、ステークホルダーに「未来の子供たち」を加えている企業があります。今の私達の行動や活動が社会に対して、大切な資産を引き継ぐべきと考えている方も多いのです。
ここからはブランドビジョン2.0としてのブランドの在り方を共有していきたいと思います。
ブランドビジョン2.0 ①:ブランドの在り方の変化
ブランディングは、企業の利益追求のためではありません。様々なステークホルダーと未来をどのように創造していくかが社会的な目的です。そしてこの追求こそがブランドビジョン2.0となります。あなたのブランドビジョン2.0を全従業員に共有し、どのような社会を作り出していくかを行動レベルにまで落とし込む必要があります。
あなたの会社で取り組める従来の事業活動に対して「どのような社会を作り出していくか?」という問いにどのような答えをお持ちでしょうか?その答えというものは、具体的で実現可能でなければなりません。
パナソニックの創業者である松下幸之助翁は、社会から貧困をなくすという使命のもと電化製品を世に送り出し、見事に豊かな国づくりに貢献されました。そして、この使命は今も世界中へ広まっています。松下幸之助翁の思いが受け継がれ、現在はアフリカの電気のない地域に太陽光発電を設置し、夜中でも電灯や照明が灯る集落づくりを支援しています。
多くの方はパナソニックの活動は知らないかも知れません。しかし、文化を作り出す企業という組織体こそが社会というものを考えなければ、ただの利益追求のための道具になってしまいます。その考え方を従業員だけではなく、消費者にも共有して感情を動かし、多くの支援者を募っていく時代に差しかかっているといえます。
ブランドビジョン2.0 ②:ターゲティングの変化
ブランドビジョン2.0では、ターゲットとする顧客が変化します。目指すゴールの変化が起こるため、そのゴールに共に向かうパートナーとしての顧客が変わってきます。
従来あれば、商品・サービスをどれだけファンになってくれるかが大事な顧客像であると考えられていました。もちろんこのようなファンは従来どおり大切な顧客であることに変わりありませんが、もっと多面的な関係性を作ることができるようになるはずです。
事業が社会に影響を及ぼすことができる時代、消費者や顧客の存在によって社会的価値を高めることが出来るようになりました。そこで企業が行うべきことは、関係性の強化や想いの共有です。積極的にファンからチームの一員としてブランドビジョン2.0実現に向けて関与してもらい、共に未来を作る同士として歩んでいくことが重要な時代になっています。
ユニクロは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界各地のNGO・NPOとともに、難民キャンプや被災地への緊急災害支援など、世界中の服を必要としている人たちに届けています。このような取り組みが挙げられたように、消費の時代から価値観・思想の共有の時代となっているのだと感じます。
ブランドビジョン2.0 ③:チームの変化
会社が高い目標を掲げてゴールに邁進しだすと、会社は今までと違う舵を切らなければならなくなります。高い壁や困難が現れたり、挫折をするかもしれません。しかし、ここでの前向きなチャレンジをすることが従業員を育てていくことになります。
人々の生活を良くするためには、社会変化への貢献こそが本人たちの自己肯定感を生み出し、さらなる勢いが生むことが大切です。人は目の前のことに悩んだりくよくよしたりします。そうではなく、ビジョンを実現するためのスイッチが入った時に、人はパワフルに育っていくでしょう。
ブランドビジョン2.0は、このような高いビジョンを示し行動することで従業員とチームの変化・成長を促し、強い組織づくりを実現していきます。
ブランドビジョン2.0 ④:ステークホルダーとの関係性の変化
社会的価値を作り出す会社に対しては、ステークホルダーも積極的に支援を行うでしょう。現在は国連が設定したSDGsに対して、投資家や行政が積極的に関わっている状況です。
ブランドビジョン2.0 ⑤:ビジネスの成果
ブランドビジョン2.0を体現することは、強いファンとのネットワークを構築することに繋がります。人々もより良い世界に変えていくことに貢献したいと考えており、大切なお金を使う相手を吟味しています。
だからこそ、ブランディングは高い志を掲げて実践している会社となることを期待しています。特別なブランドという感情移入を引き起こすことは、ファンとして長期的に購入してもらえる大きなきっかけになるはずです。
ブランドアイデンティティプリズム
ここで、ブランドについて総体的に示した表ご紹介したいと思います。これはブランディングの専門家として世界的に知られるJean-Noel Kapferer氏が作成しました。
「ブランド・アイデンティティ・プリズム」と名付けられたモデルであり、ブランドアイデンティティが持つ6つの側面(Physique、Personality、Culture、Relationship、Reflection、Self-image)がまとめられたフレームワークです。
ブランドアイデンティティプリズムは、以下の6つの要素で構成されます。
- Physique:物理的に識別されるブランドの側面
- Personality:ブランドの個性
- Culture:ブランドが自らの行動の規範とする価値体系や基本原則
- Relationship:ブランドがシンボライズする人と人との関係
- Reflection:消費者を代表する人たち。言い換えれば、ブランドの典型的なバイヤー
- Self image:消費者がイメージする理想の自分
詳細は後述します。まず、ブランドアイデンティティプリズムにおける「ブランドオーナーのブランドアイデンティティ」は、企業側がイメージしているブランド像になります。
「消費者側のブランドイメージ像」とは、商品・サービス・企業に対するブランドの印象のことです。この点は、感情移入を伴った印象という意味になります。そして左の「社外的」はエクスターナル、「社内的」はインターナルというブランドの外か内かに対する関わりを意味します。
Physique:物理的に識別されるブランドの側面
企業のロゴ、配色、梱包デザイン、オンライン空間やコミュニケーションなどが含まれる領域です。
Personality:ブランドの個性
人間のパーソナリティと類似するものです。ブランドの個性を表現するためには、作成する文章のスタイルやボイス、デザインのスタイル、配色、あるいは 著名人を起用することなどの方法があります。
Culture:ブランドが自らの行動の規範とする価値体系や基本原則
文化とは、ブランドに託した価値観やビジョンに代表され、他者とのビジョンや価値観との違いを示すものです。ブランドの文化とその組織とは密接につながっています。文化とは、会社の理念体系や業績、社歴、社風なども含まれています。
Relationship:ブランドがシンボライズする人と人との関係
お米のブランドだとすれば、家庭円満の笑顔が溢れた食卓や母親が作ってくれた温かいおにぎりなど、そのブランドが象徴する人と人との関係という意味です。
Reflection:消費者を代表する人たち。言い換えれば、ブランドの典型的なバイヤー
商品・サービスを購入するバイヤーペルソナ自身が、商品・サービスのブランドの鏡であるという意味です。
Self image:消費者がイメージする理想の自分
消費者自身が自分自身をブランドにどう投影し、自己表現的価値を得ることになるかを意味します。
おわりに
いかがだったでしょうか。ブランドアイデンティティプリズムは、様々な視点から「らしさ」を構成していくフレームワークです。他のフレームワークとかけあわせて、整合性を取りながら検討してみてください。
強いブランドを作っていくためには、ブランドオーナーやマネージャーがブランドの指針を定め、事業推進時の判断基準にしていくことが重要です。ブランドは、市場に浸透させるものではありません。商品・サービスの情報が世の中や社会に自然と広まっていくという現代において、社会を持続可能な発展に貢献する姿に共感を得ることができるブランドは、他社よりも強いブランドになるでしょう。
企業は「持続可能な社会の発展」そのものを事業にすることが求められています。そして、ソーシャルメディアの台頭により、商品・サービスを通じて社会を持続的に向上させる在り方が問われています。
当社はカカオとチョコレートのドキュメンタリー映画を制作していますが、チョコレートを製造している会社が貧困地域のカカオを使用していることがあれば、非難受ける可能性があります。企業は寝耳に水かもしれませんが、そのようなことも起こり得る時代ですので、ブランドアイデンティティプリズムのカルチャー規定しておくことが大切です。
知らなかったでは済まされない、そんな時代のブランドビジョン2.0を検討していかなければなりません。